メニュー

身近な病気のお話(1) 心房細動

[2020.12.04]

院長ブログを通して身近な疾患について少しずつご紹介したいと思います。初回は心房細動という不整脈の病気を紹介したいと思います。

正常な心臓の働き

心臓には心房(右心房•左心房)と心室(右心室•左心室)という4つの部屋に分かれています。

正常な心臓では洞結節から電気信号が心房に伝わり、房室結節という中継地点を介して心室に伝わります。これにより心臓は収縮したり拡張したりすることで全身に血液を送り出します。

心房細動はどのように起こるの?

では、心房細動の場合はどうでしょうか。心房細動は心房の不規則で速い電気の流れができることで、心臓が不規則に収縮してしまいます。そうすることで、動悸息切れなどの症状を引き起こします。多くの方は症状から病院を受診されて見つかりますが、中には無症状で健康診断などの際に偶然見つかるという方もいらっしゃいます。

心房細動の有病率は?

2003年の報告では心房細動の有病率は70 歳代では男性 3.44%、女性 1.12%、80 歳以上では男性 4.43%、女性 2.19% であり、日常診療でもよく遭遇する不整脈です。

心房細動と脳梗塞の関係

心房細動の合併症として脳梗塞があります。心房細動では心房が不規則に収縮するため血液の乱流が引き起こされ、それにより心臓の中に血栓と呼ばれる血の塊が作られてしまいます。血栓が血液の流れに乗って、脳血管に詰まってしまうと、脳梗塞(心原性脳塞栓症)を引き起こします。そのため、心房細動では脳梗塞を未然に防ぐために抗凝固療法と呼ばれる血液をサラサラにする薬が必要になります。

心不全と心房細動の関係

心不全と心房細動は高頻度に合併します。両者は密接に関係しているので、心房細動のある方は息切れや足のむくみなどの症状がないか注意して観察する必要があります。

心房細動の薬物治療は?

心房細動の薬物治療としては

  1. 抗凝固療法
  2. 心拍数のコントロール
  3. 洞調律の維持療法 

があります。それぞれ簡単に解説します。

1. 抗凝固療法

抗凝固療法は脳梗塞予防のための治療で、血液をサラサラにする薬を内服します。昔はワーファリンという薬のみで、こまめな採血や食事の注意が必要でしたが、今はDOAC(direct oral anticoagulants)という新規抗凝固薬が使えるので用量も固定でより安全に内服していただくことが可能になりました。腎機能や年齢などによって用量調節は必要ではありますが、メリットも多く今は広く使われています。いずれにしても出血リスクも考慮した上で治療薬を決定することになります。

2. 心拍数のコントロール

心房細動では心拍数が速くなってしまうことが多く、β遮断薬(ビソプロロール、カルベジロール)を使って心拍数をコントロールします。欧州ののガイドラインでは、安静時の心拍数は110 拍 / 分未満にすべきだと言われていますが、自覚症状を見ながら適度に調整することが必要です。

3. 洞調律の維持療法

心房細動では心房の有効な収縮の消失による心拍出量低下や心房内の血栓形成を認め、さらに不規則な心拍や頻脈による動悸、胸部不快などの症状を呈することから、QOL(Quality of Life)の改善を目的として洞調律化を図ることがあります。但し、心房細動の洞調律維持療法としての薬物治療は生命予後を改善する治療ではないことから、安全性に注意して治療を選択する必要があります。

心房細動の非薬物治療

心房細動の非薬物治療としてはカテーテルアブレーションが行われます。カテーテルアブレーションとは足の付け根の血管から心臓内にカテーテルを挿入し、カテーテルにより心臓の組織を焼くことで、心臓の動きを正常に戻すという治療法です。その他にも最新の治療としてはクライオバルーンアブレーションと呼ばれる心房細動に対する冷凍焼灼術などを行なっている施設もあります。当院でもアブレーションが必要と判断した場合にはアブレーション施行可能な施設にご紹介しております。

 


 

以上、今回は心房細動についてご紹介させていただきました。

健康診断で心房細動と言われた方、動悸が最近気になる方などいらっしゃいましたらご相談ください。当院は心電図や心エコー、ホルター心電図などもありますのですぐに診断可能です。

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME